あまくて にがい

「好き」って言って 他に何もいらないから

舞台「憂国のモリアーティ」感想

はい、感想です。レポではないのであしからず。注意事項は以下のふたつ。

1.私、原作未履修の「シャーロックホームズ好き」です。「シャーロキアン」とは言えないレベルの好きです。一番好きなシャーロックはBBCSHERLOCKですがコナンドイルの本も多少読んでます。たいていの知識はそこから。

2.以下、盛大なネタバレを含みます。まだ観劇になってない・ネタバレを踏みたくないなどネタバレが嫌な方は自衛してください。

上記、ご承知いただける方はスクロールをお願いいたします。

(書き終えての追記:シャーロック好きおばさんがうるさい(物理)だけのめちゃくちゃ抽象的な感想になってます。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやほんと、結論から言うとめっちゃよかった。めっちゃよかったことだけ念頭に置いていただき、この先の話を聞いてほしい。何故かというと、多分読む人によっちゃ批判しているように聞こえるかもな、と我ながら思うからで、違うんだよ、そうじゃないって言いたいんだけど、こればっかりは難しいなと…。

小学1年生からコナンの沼に突き落とされた私はコナンで字を覚えたといっても過言じゃないし、シャーロックホームズをはじめとした推理ものを好きになるのも必然だったわけで、原作未履修な分「シャーロックホームズの世界」を知識としてすり合わせるには「BBCのシャーロック」と「ドイルのシャーロック」から引っ張ってこなきゃいけないから。めんどくさい原作厨みたいになってしまってるけど、そもそも世界観が一緒なだけで全く別作品なのは重々承知だし、だからめっちゃよかったって思うのよ!!わかってんのよ!!これだけは伝わってほしい。比較対象がそこでごめん。いや誰に謝ってんだ?

でもシャーロキアンとも自称できないほどににわかなんですね、私。本当のシャーロキアンって踊る人形書けたりするでしょ?(偏見)シャーロック大好きで読んでるけど大体うろ覚えですし、よく間違って覚えてるので…。なので寛大に読んでくださると嬉しいです。

 

去年の春ごろ「憂国のモリアーティ」という字面だけをどこかのフライヤーで見て、「モリアーティってあのモリアーティ?シャーロックの?なにこれオリジナル舞台?」とめちゃくちゃ興味をひかれたのを覚えている。ずっと気になってはいたけど、今回ご縁あってチケットを譲っていただき見に行くまでろくに調べたこともなかった。

毎回いうけど2.5次元って原作未履修に厳しいじゃないですか。漫画、読もうと思ったけど思いのほか巻数が出ていてあっさり諦め(おい)、あらすじをネットで探したところ、登場人物の名前に見覚えがあるだけで分かりそうになかったので本当に諦めました。ので本当に原作未履修状態で臨んだこの舞台…。

幕が開けて、モリアーティ(次男)が「ノブレス・オブリージュ…」って言ったとき「好きよね~~~~~~~~~~~~~!!!!!!(^p^)」って唸った。ホント好きだな貴族社会はその言葉!!貴族話大好き!!

で、ジェームズ・モリアーティが3兄弟だって話で、モリアーティに兄弟なんていたか?と思って調べたら、Wikipedia先生でめっちゃ言及されていた。知らなかった。

モリアーティ教授が初登場する「最後の事件」では、彼のファーストネームは明かされない。しかし、教授の兄弟であるジェームズ・モリアーティ大佐(Colonel James Moriarty)が教授の名誉を回復しようと投書をしたことが、ワトソンが事件について語るきっかけになったと言及されている。後に「空き家の冒険」で、ホームズが教授を「ジェームズ・モリアーティ教授」と呼ぶ。教授のファーストネームが言及されたのは、作中でこの一度だけであり、奇妙にも大佐と同名である。『恐怖の谷』では、ホームズの口から、教授の弟はイングランド西部で駅長をしていると語られる。

駅長の弟に関しては原文で his younger brother とあり弟である事が明らかだが、大佐に関しては his brother という記述があるのみで、兄なのか弟なのかは不明である。日本語版では、訳者により「兄」「弟」解釈が分かれ、上下の区別をつけず「兄弟」と訳している場合もある[3]。教授と大佐が同名のため、ジェームズ・モリアーティというのは複合姓ではないかと考えられている[3][4]

なるほど、これで次男のウィリアムが主役の理由もめちゃくちゃ納得いったし、もしかしたらジェームズがファーストネームではない可能性にも感動したし、仮に原作でも兄弟で、モリアーティー側からあの数々の事件を見れるのかと思ったら興奮して仕方なかった。実際何年か前に、三谷幸喜がアガサクリスティのオリエント急行殺人事件を犯人側の視点でドラマ化したじゃないですか、あれよあれ、あの時と同じ興奮!

実際劇中でも「頭脳」「実行力」「権力」などなど3人で分散されている我々の知る「モリアーティ教授」のエッセンス…3人でいる意味でもあるし、目的に対する手段としての「我々の理想とする犯罪卿、ジェームズ・モリアーティをつくる」みたいな意味においてこれは相当重要じゃないか。

1幕の事件の内容はドイルの小説にあるかどうかわからなかったので、すげースピードで解決してくのが、理解追いつくの本当に大変だった。ちょっとずつ過去回想が入るところの演出は個人的にとても好みでしたね。椅子が倒れたり、スポットライトが当たったり、そこに実際に人はいないけれど誰かいるんだなっていう。

そういえばアヘンの話も出てきましたが、唇のねじれた男*1かとおもったら違った。うーん、実はクロスストーリーであのアヘン窟にはシャーロックも訪れていたとか?原作漫画で描かれていたとしても、作品の主役はモリアーティ3兄弟なので、そこの話をバッサリそいじゃうこともできそうではある。読んでないからわからんけど(そこ)。

 2幕でようやく出てくるシャーロック。双眼鏡とかで見たわけじゃないので、断言するのもなんですけど、北村さんマジで顔面がシャーロックだった。よく聞くシャーロックの特徴って感じだった。初っ端がアヘン事件の続きなのはさておき、話の筋はボヘミアの醜聞でしたね。アイリーン・アドラーの名前が出てくるからそりゃそうなんですけど、キャストにバスカヴィルの名前があったからてっきり1幕はバスカヴィル家の犬をやるもんだと思ってた。黒執事だって最初はバスカヴィル家の犬だったぜ?(関係ない)

ちなみに色々頭が追い付かず聞き流していたせいで、どれがチャールズ・バスカヴィルだったかわからず。最後の仮面舞踏会で亡くなった方?じゃあバスカヴィル家の犬事件はあの後起こったことだったのだろうか…?

ていうかどこの世界線でもジョンとマイクロフトはシャーロック大好きだな~~~~~(満面の笑み)!BBCのマイクロフトかわいいよね!シャーロックもあの2人とレストレード、ハドソンさんがいるから生きてるみたいなもんだ。

ボヘミアの醜聞、記念すべき俺たちのアイリーンがシャーロックに接する話でもありますが、原作では英国が絡んだ記憶もないし、どちらかといえばBBC寄りな気が。スクリーンに「The Women.」と出た時は「あの女~~~~~~~!!!」って言いたかった。言ってんのシャーロックだけど。

で、1個だけ言うとしたなら。言うとしたならね。シャーロック、アイリーン好きすぎでしょ…!2人はお互いを認め合う関係だし、時代が時代ならいい関係になったのかもしれないけどそうじゃないんだよなぁ!!!あと、すごく近いところはあったけど、アイリーンにはルパン三世で言う峰不二子のような「誰よりも1枚上手な女」でいてほしいんですよ…シャーロック好きの理想ですけど…「最後まで気づかなかった…!」じゃねえ、そこじゃねえ、そんなもんじゃねえんだ俺たちのアイリーンは!!!って思ったけど少年ジャンプとしてはめっちゃ大正解なので実は気にしてないです。別物だしね、という落ち着き方。ここまで言ってなんやねんって話だが。でもBBCアイリーン・アドラー大好き芸人なので言わせてくれ。

俗物ぽい?シャーロックってシャーロックを題材にした話で初めて見たかも。謎以外に興味などない、謎に関係するのであればいかなる知識も好きになれるというのがシャーロックのイメージだけど、憂国のシャーロックは舞台観た感じだとそこまで全てにおいて無関心ってわけでも…特にアイリーンに対しては特別な感情みたいなのちゃんと出してて、俗物って言ったらめちゃくちゃ語弊あるけど新鮮だったなあ。

もしかしたら言い方や性格がああなだけで、単純に対象の身の安全を保障したいってだけだったのかなあの教会での言動は。モリアーティとシャーロックの唯一の違いは「そっち側じゃない」ってだけだと思ってるんで。BBCでいうと「天使の側にいる」かどうか。

そうそう、2幕で出てきたイースト・エンドの無差別殺人は「切り裂きジャック」だったんでしょうか。切り裂きジャックは実在するし、シャーロックでは扱ってないし、不確かですけど時期も場所も一緒だもんな~。舞台で見た被害者は女性だったけど。ふむ、書いてて気づいた、そういえば女性だった。でも切り裂きジャックの名の通りだと銃じゃないよね~~。貴族の狂気の遊びであればよくて、特段意味はなかったのかしら。それとも私が知らないだけかな…。

それで、通しで話を見ていてずっとモヤッとしていたところがあって。モリアーティって、劇中の言葉を使えば「クライム・コンサルタント(犯罪コンサルタント)」なわけですよ。でもこの話の中ではダークヒーローとして描かれているので、目的のために手段を択ばないだけで、目的自体は至極真っ当といいますか、腐った貴族社会を無くすもしくは改善するわけですよね。ドイルやBBCのモリアーティはそもそも自ら手を下さないし、犯罪をコンサルティングしているだけで革命のような大それた目的があるとは思えなかったので、モリアーティの異常さというのがあまり感じられなく…。

と思っていたら孤児院での過去回想で、ウィルが「じゃあみんな、悪い貴族を見つけたら僕らはどうするんだっけ?」との問いかけに周りが「殺す!殺す!」と大合唱なあたりで「これこれ~~~~~!!!」ってなりました。

そう、この狂気!この狂気こそが求めていたモリアーティ…!すでに殺人部隊を洗脳して作り上げてるところよ。うーん、最高。敵だけど(私はシャーロック派なので)。

なんとなく察してはいましたが「運悪く」亡くなったモリアーティ家の他のご家族。実は殺してたんだよ、がわかるシーンの椅子が浮く演出マジでよかったなあ…ホラーぽくもあり、人が死んだ暗喩でもあり。人がそこに存在しているはずだった演出の最後としてめっちゃ好みだった。音楽もよかった。ゴシックホラーだった。

 で、私の中で最大の伏線回収だったんですけど。

ジェームズ・ボンドってそういうことかい!!!!!笑

「ラストネームは自分で決めるといい…」ってアルバートが言った瞬間めっちゃ笑ってしまったわ!予想外すぎて!普通に007と融合すんのか何でもありだなぐらいに思ってたら同一人物とはね…やられた~~!発想が天才。めっちゃ少年ジャンプだ…!って思いました。銀魂の見過ぎか?

そんなこんなで原作未履修でもなんとかついていけたし楽しめた!普通に漫画ちゃんと読みたいと思った~!めちゃくちゃ良い舞台でした。楽しみ方が合ってるかどうかは分からないけど。笑

 

私の許容範囲が広いのか、そもそもよくわかってないからなのか、ハズレの舞台に当たることなくて本当に嬉しい限りです。去年は後半に舞台が充実してたので、今年はめいっぱい舞台観れたらいいな〜!

 

以上でございま!ただシャーロックがすきなおたくの感想になってしまった!これにてどろん。

*1:ダブルベッドに食いついたおたくは次回私と飲み明かそうな!