あまくて にがい

「好き」って言って 他に何もいらないから

最果ての君へ

推しがいない。正確に言うと最推しがいない。

 

ジャニヲタを卒業してからあっという間に2か月が経とうとしている。身内に「せめてジャニヲタ卒業式やってから降りよう!」と言われ松竹と東京ドームは応募したものの当たり前に外れました。ありがとうみんな…私の分まで道枝くん見つけてくれよな。

 

正直、最推しなんてすぐにできると思ってた。自他ともに認める「熱しやすく冷めやすい性格」は、今までもありとあらゆるジャンルに食指を伸ばして推しを作り、「お前はいったいどうやって生活しているんだ」と何度も疑われるほどたくさんの世界線に現地妻がいて、思うがままに最推しを変えてきた。そんな私がジャニヲタをやめたぐらいで、次の最推しが定まらないまま推しを切り離したぐらいで、こんな虚無感に襲われるなんて当時は1ミリも思ってなかったのだ。

ジャニヲタをやめたあの日から、好きな舞台も映画も観に行った。コラボカフェに行ったりもした。ホストの担当にも会いに行った。元推しに会いに行ってチョロくも沼に飛び込みかけたし、今までチケット代になっていたお金でゲーム課金もした。例えて言うなら、沼しかない広大な場所で平均台みたいな細い橋を渡っているようなものだった。でも結局、足元だけ泥まみれで。踏み外してもすぐ登っちゃった。

多分、普段推しという概念の軸で生きていないひとにとっちゃ相当オタクしてると思う。でもずっと心のどこかにある虚無感が拭えない。

そんなことを非オタに相談すると「大人になったんだよ~」ってすぐいう。すーぐいう。でもな、こんな虚無感に溢れた大人にならば、私はなりたくないんだよ。一生子供でいたいわ。ダイスキナオモチャニカコマレテ~!

大人になるということは決して現実に目を向けることではないし、私が好きなものを好きであることが現実から目をそらしているというわけではないと思うのに、しばしば大人たちはそういう言い方をする。

「将来どうなりたいの?」って聞かれてくそ真面目に「自分の中のキャリアを積んでゆくゆくはこういう仕事をして~」って答えられるほどには大人じゃないけど、別に「プリキュアになりたい!!!」って本気で言ってるわけじゃねえんだよ。

じゃあ、そうやって人が言う「大人になったからヲタ卒した(またはゆるヲタになった)」が正解だと仮定して、それは「ある日突然推しに興味がなくなりました!」なのか?私は違うと思うんですよ。

多分、私の思い描いている「大人になった故のヲタ卒」って「推し以上に心が満たされるものがそばに出来た」だと思う。結婚・出産だったり、仕事が楽しくなったのかもしれないし、環境が変わったのが楽しいってのもあるのかもしれない。とにかく自分の興味が「推し」から「推し以外」に移っただけ。少なくとも私の中の「推し」という存在は、人間の中にある興味という名の塊がぶつけられる対象であり、興味から「好き」とか「楽しい」とか前向きな感情を生成してくれることで自分の幸せMPを満たしてくれるものでもあるから。

私は、生きていく中で興味をぶつける対象が変わっただろうか?んなこたないんだよな。自らとはいえ目の前から推しを消して、どこにぶつけていいのかわからない、「好きって思いたい!」「楽しくなりたい!」って暴れまわる興味という感情を持て余してしまった。他に発散されつつも、それはごくわずかの水漏れみたいなもので、ちゃんと発散できない気持ちがたまっていき「虚無感」という感情を吐き出すようになっちゃったんだなあ。

いうて私はどこにも足向けて寝れないほどのDDなので「推し」が多数存在し、摂取するたびにMP回復効果は得られるけども。でもやはり「最推し」というポーションはマジでチート級MP全回復アイテムだったことを、ここ1か月でやっと悟った。最推しがいるだけでその日の終わりに癒され、明日も頑張ろうと思えて、現場を楽しみに生存できる。最推しがいるから、他の推しにもある程度の「好き」を全力で投げてあげられる。だからこそ、簡単に手に入るものじゃないんだなあ。今までどうやってできてたっけって思うぐらい毎日の職場との往復で考える。

じゃあ戻れよって意見もごもっともなんですけど、もう私の中で彼らはレアアイテムではなくなってしまったんですよね。通常回復アイテムでしかなくなってしまった。悲しいけど、ごめんね。

 

いつまでこの虚無感と戦い続けるのだろう。や、別にそこまで深刻でもないけど。けどやっぱ考える。あの日から何度も「この子推してみようかな」って舞台行ってみたり「この子ちょっと気になるから調べてみよう」「この人のところ戻ってみよう」って結構やったけどどれも通常回復だった。

「恋はするものではなく『落ちる』ものなんだよ。」とはよく言ったものだが、沼も落ちるものである。私が出てこれないほど深くて優しくて温かい次の沼は、いつ出てきてくれるんでしょうかね。それでもヲタク自体をやめようとしない私は、きっと死ぬまで推しを探し続ける人生を歩むのでしょう。最後の推しまで私、走ってみせるわ。…みんな見捨てないでね!?!?!?!!!!

 

過去何度か推しを見失ったことはありますが年々ひどくなってる気がします。でも吐き出せてよかった。近い将来また私に最推しができたら、この記事の見方がまた変わってくるのかもしれない。いや、変えてみせよう。あいるびーばっく。ま、推しできなくても記事は書くと思うけどねん。全然関係ないけどこの記事のタイトルは大好きな商業BLです。お疲れ様でした。